工場見学レポート|曲木家具の最高峰「秋田木工」へ

2025.06.05


三島家具にて販売している「No.202スツール」でも知られる秋田木工。

今回、このスツールがどのようにつくられているのかを見学するべく、秋田県湯沢市に工場を構える秋田木工をスタッフ数名で訪れてきました。


案内してくれた人
秋田木工管理部 主任 藤川さん


 




工場内は帽子の着用が必須なので、帽子をお借りして工場内へ。




|木材の選定と乾燥



まず案内されたのは、材料の選定と乾燥の工程を行う屋外部分。

主に使用されているのはブナ材で、天然乾燥を行なっていました。




製造の過程で生まれてしまう端材をを機械で燃焼し、発生した蒸気を曲木加工のスチームに利用しているそうです。

「うちでは木材を無駄にすることはありません」という藤川さんの言葉が印象的でした。




|曲木(まげき)加工




100℃近くある蒸気で長時間熱した木材を取り出し、すぐさま鉄型にはめ込み手作業で木を曲げていきます。

少しでも熱が冷めたり水分が乾燥してしまうと木はすぐに固くなってしまうので、この作業にかける時間はおよそ5分程度。一切無駄の無い圧巻の職人技と、木が曲がる時の「メキメキメキ…」という大きな音が相まって、とても迫力を感じました。




あっという間に202スツールの脚になるパーツの原型が出来上がりです。







|切削・研磨





曲木加工を行なったパーツは乾燥させた後に、完成のベースとなるラインを内側→外側の順に削り出していきます。




恐ろしい注意書きを発見。

一瞬の油断が事故に繋がってしまうんですね…





切削を終えた部材はカンナやヤスリを使った研磨の工程へ。

曲木加工の際に生じた傷やヘコみの修正もこの工程で行います。




|組み立て





それぞれのパーツが仕上がったら、今度はそれらを組み立てていきます。

金属の金具をできるだけ使わず、接着剤で部材同士を丁寧に噛み合わせる様子を見させていただきました。作業を見せてくれた女性の職人さんがあっという間に組み上げていました。




ボンドの容器はマウントレーニア。




|塗装





組み上げられたあとは塗装の工程に移ります。

ここでも組み立ての際に傷やヘコみ、歪みなどが発生していないか、入念に確認して塗装を行うそう。




着色は1度だけでは終わらないので、何度も塗装と磨きを繰り返します。

それを行うことで仕上がりが綺麗になるだけでなく、滑らかな手触りが生み出されるのです。






|縫製・貼り加工



今回は三島家具オリジナル仕様の202スツールに用いたminä perhonenの生地「dop」の縫製から見学させていただけることに。




2枚の異なる生地を縫い付けてパッチワークのようにして、これを座面に貼っていきます。





座面に生地を被せたら裏側からタッカーで固定し、向きのズレやヨレが起きないように均等に力を加えながら固定していきます。




タッカーを打ち終えたら、次ははみ出した余分な生地をカット。




最後はタッカーの針が見えなくなるよう裏側に布を貼って座面ができあがりました。




こうして出来上がったスツールがこちら!



シンプルなデザインのスツールですが、こうやって製造過程を最初から見学したことで、

細部にわたり職人さんたちの技術や想いが感じられ、今までと見え方が変わりました。

秋田木工では量産や効率化ではなく、「長く使える良いもの」をつくるために、

丁寧な手作業と品質を何より大切にしているのが伝わりとても良い経験になりました。





案内してくださった藤川さんをはじめ、快くご対応していただいた職人の皆さま本当にありがとうございました。

(見学後に思わず家具を買ったスタッフも。つくられる過程を実際に見ると欲しくなってしまいます◎)





おまけ「工場内で見つけたNo.202」



工場内では作業用の腰掛けとして、あちこちに202スツールが置かれていました。

どれもかなり年季が入っていて、傷があったり、座面が破れてしまっているものも。

それでもどのスツールにも味があり、長く使い続けることで、より魅力が増していくものだと感じました。

丁寧につくられた家具は、時間の経過とともにその良さを教えてくれる——そんなことを改めて思いました。








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